2010年9月6日月曜日

工業高校での挑戦はつづく・・・

繊維デザイン科も今年で設立20周年を迎えました。当時のスタッフが時代の変化を見据え、前身の繊維工学科を改編し平成3年に繊維デザイン科を設立したのです。設立当初は設備もスタッフも不足気味でなかなか本来のデザイン教育が進まない状況でしたが、この20年の間に教育環境も設備も徐々に充実してきました。
筆者が18年前に繊維デザイン科に来た時は美術・デザインを専門とする教師は一人だけでしたが、現在では4名の美術系教師が常駐し、繊維系の専門教師と合わせて6名のスタッフで大変幅広く充実した授業内容を展開することが出来ています。
当初は工業高校という枠組みの中でデザイン・美術・工芸の専門教育がどこまでできるのかという疑問もあり、県内の工業高校の中では初めてで唯一の学科ということで認知度も低く他科の理解や協力も得難い状況もありました。
そもそも当時の一般的な工業学科とは、機械の扱い方や工事や整備の方法を学ぶという技術的な学習がメインであり、「指示どうりに正確にものを作る」能力が求められ「自ら作品を創りだす」という点はあまり重視されていませんでした。
しかしデザイン科での学習は「自ら考え、創造する」ことこそがメインで、それを展示などの方法で「発表する」「プレゼンテーションする」ところまでが重要なプロセスであり、そのために欠かせないのが「美術・工芸」の専門教育なのです。
デザイン科は「デザイン、それはものづくりの原点であり、よりよい生活のための提案である」という理念の元「すべてのものづくりはデザインから始まる」という意味において、発想力、創造力、提案力、を重視した教育を行ってきた結果、中南勢地区で唯一本格的に美術・デザイン教育をうけることができる学科として認知されるようになってきました。現在では日本各地で卒業生がデザインの現場で活躍しています。
 この結果、産業構造の中でデザインの立ち位置を知り、その専門性を生かした職業に就くために美術大学やデザイン系専門学校に進学する生徒が多数います。
工業高校などは職業高校と呼ばれ、一般的には高卒で就職するための学校と位置づけられていますが、デザイン科の生徒の約7割は進学します。それはデザインの仕事がそんなに簡単なことではないということを授業を通じて理解するからです。この点も他科とは大きな違いです。デザイン科では指定校推薦なども含め様々な形で進学対策をしています。
もちろん様々な事情で就職を希望する生徒もいます。それはこの工業高校の枠組みのなかで様々な職種に就くことができますし、デザイン科で学んだことは今の時代どんな職種においても生かされることでしょう。
高等学校には普通科、工業科、商業科、など様々な学科が設置されています。将来進学するにしても就職するにしても、要は「高等学校でどんな授業を受け、何を学びたいか」ということにつきると思います。
繊維デザイン科に入学してくる生徒は皆「美術が好き」「絵の勉強がしたい」「デザインの勉強がしたい」「ものをつくることが好き」「美術大学に進学したい」などの強い動機を持っています。その生徒たちのやる気が繊維デザイン科をよりよいものへと進化させる原動力となって現在に至ります。
繊維デザイン科の学習成果を発表する機会として卒業制作展があります。今年で19回目を迎えるこの展覧会を観れば繊維デザイン科で学んだ生徒の学習成果がしっかり伝わると思います。
設立20周年を期にまた一つ新しい繊維デザイン科を目指し今後も挑戦をつづけて行きたいと思います。